洗足池で会いましょう

退院時、やっていいこと悪いこと、についてセンセに聞いてみた。
予想通りセンセは

「何でも普段通りで大丈夫！」

しかし凡人としてはいろんな事に慎重になるわけです。
ま、バレエも行った酒も飲んだ自転車も乗った今となっては、真に普段通り！で大丈夫なはず。
久々の池上線はリハビリには丁度良い空き具合ですわ。
昨日体液抜いてもらったせいか患側の胸の痛みも、脇下のしびれもあまり気にならない。
いずれいろんな違和感もなくなるといいなあ。

退院後初めての外来です。
Ｍ先生は

「おっ元気かい～」

と相変わらず明るい声かけ。
対して私は

「いや、朝だけは元気ですわ」

と間の抜けた返事。

「それはどういうこと？？」

と聞かれ、「夕方になると傷もうっ血して痛いし、疲れも出て、、、」

と弱音を吐く。実際、入院していた時よりも、痛みが増して腫れもひどい。
普通に子供二人の面倒を見て生活しているとそれなりに負荷がかかるのか。
全身麻酔で身体にメスを入れるというのは、やはり影響を長く引きずるものなのか。
ちょっとしたことで悲しい気分になったり、何に対してもやる気がでなかったり、術後うつっぽい症状も出ている。

「まあちょっと横になって傷みせてもらおか」

たまっている体液を注射で抜いてくれた。54cc。
「いい感じよ。少し腫れるくらいが、ね。ちょうどいいの。ボリュームが出るでしょ。凹みのトコがうまい具合に腫れると一番ええんやけどね」

腫れるといいんだ！カチンコチンに腫れてブルーになってたんだけど、ちょっと安心したわ。

体液抜きながら、「病理も大方終わってて、取り残しはないし、転移も大丈夫。ホルモンはまだ結果でてないから、出揃ったら今後のこと決めさせてもらいます。レーザーメースのやけどが少し残ってるから軟膏だしとくね。これ、治ったら放射線ね。」

とわさわさと説明してくれた。
看護師さんに、注射の跡を「ちょっとギュっと抑えてて」と指示、
ギュっと抑えると「そんなに強くしちゃダメだ！！！」とかなり強い口調でお叱りの言葉。
「せっかく丁寧に寄せてあげたんだから、乱暴にしたら台無し～」と、ガラリと明るい様子。
なんかわかってきたけど、先生は職人気質なんだな。自分の作品へのこだわり、立派です。

「うん、いい感じいい感じ。もう仕事行ってるんでしょ？」

と聞かれ、いや～なんかいろいろ不安で、まだ行ってないです～とまたも弱音を吐くと、

「不安がることないよ、これ、治る乳がんだから！もう普通の生活なんでもしていいんだよ！！」と励まされた。「う～ん、でも通勤が～」とかウダウダ言ってると、「どうしても行けとは言わないけどさ、不安がること全然ないんだからね。もう病人じゃないよ。」とダメおし。

先生の言葉はいつもありがたいし力になる。元気がもらえる。
でも、正直、子育てと仕事を綱渡りで行うキリキリ状態＝通常の生活に比べて150~200%の出力が必要、ってこと考えると、まだ自信が持てないんだな。

ともかく次の予約を25日に入れて終了。

病棟の皆さん、お世話になりました。
食堂にあったマンガいっぱい読んで、ゆっくり過ごさせていただきました（笑

子供と離れていたのが、最初は忘れて物をしたみたいに切なかったんだけど、

綱渡りでキリキリと日々過ごしていたワーキングマザーの日常から、5日間離れてのんびりできたのは、神様からの贈り物だったのかも、

と思うほどのんびりしました。
1週間だけ自宅療養して、あとはまた職場に戻れば、キリキリした日常の始まりだぁ。

忘れちゃいけない、お会計。
15万円ちょい。明細を見るも、よくわからない。。
ま、こんなもんだ、ってことで。

唯一私が比較できるベンチマークは、お産の時の入院費用。
上の子は自然分娩で確か50万円くらい。
下の子は緊急帝王切開で保険が効いたのですが個室だったので30万円くらい。
以上ふたつは新潟の公立病院。

あ、あとつわりで五反田のＮ病院で1週間、こちらは大部屋で7万円くらいだったかな。

こんなことなら、製薬業界いるときにもう少しいろんなこと勉強しておけばよかったと反省してます。病気の事も、医療経済のことも、薬剤のことも、ガイドラインのことも、なんも知らないまま辞めてしまったもんね。

なんも知らないおかげで先生の言うことを素直に聴けたのかもしれないけど。

ご飯も普通に食べられる。
立って動いたりも平気になった。
長い時間起きてるとすこし疲れるのと、たくさん字をみたりはツライってくらい。

日曜日なので今日も子供たちが来てくれた。
新潟から実母も来てくれたため、賑やかな病棟食堂。

今日の帰りは2歳児も6歳児も「泣かないよ！」と自分で宣言し、ニコニコとさよならをしてくれた。子供なりに頑張っている。我慢している。健気だなぁ。

4人部屋なのですが、最初から二人した患者がおらず、昨日ひとり退院しちゃったので一人部屋状態。大部屋ひとりって、しーんとして案外さみしい！！

朝からご飯が出ます！
術日は断食だったので、いくら二日酔い状態でも腹は減る、ってことで、
むさぼり喰い完食。

しかし、まだまだめまいがしたりふらついたり、なんとなく気分が悪いまま。
寝たり起きたりの1日となりました。

土曜日だったので子供たちが来てくれたのですが、また別れるときに涙涙、で帰って辛い思いをさせてしまったようです。

病棟に「陰陽師」が全巻あったので、読破してみました。
たまにはヒマな寝たきりも悪くないもんです。

夕方先生が様子を見に来られた時にマンガ読んでたら
「なんや、元気そうやな」
とニヤニヤ笑われた。とほほ。