洗足池で会いましょう

さて、いよいよ手術です。

朝もＭ先生が顔を出してくださった。マメに顔を出してくださるのでなんとなく安心する。
点滴入れに来た若い先生、研修医かな？点滴の針がなかなか入らず、何度もブスリ！とされた。
 
結局ベテランの方に交代して点滴開始。
脇の毛をそったり、浣腸をしたりとかは一切ナシ。
術中はおしっこの管もいれず、麻酔が切れたら自力でトイレに行ってね、と言われる。

なんか厳しいぞ（笑

術衣に着替え、ベッドに乗って手術室へ運ばれる。
まだ元気な普通の人なので、めっちゃ違和感ある。

9時開始。
麻酔科医が麻酔を入れる。
口から吸入するところで、ノドが詰まってゲホゲホっとなってしまった。
Ｍ先生が「オイオイ、大丈夫か～」と声をかけるが、返事をする間もなく意識が遠のいた。

次に気がついたのは、看護師が方をトントンとたたいで「終わりましたよ～起きてください～」
の声がした時。12時ころだったようです。トータルで3時間なので、結構かかりましたね。

少し後、病室に先生が来て簡単に説明。
「キレイに取れてますからね、心配ないよ。リンパへの転移もなかったけど、見た目ぐりぐりしてたヤツとセンチネルとで、悪いけど2個とらせてもらいました。
そこまででだいたい50分くらい。結構大きく切ったので凹みが大きかったから、急きょ周囲の脂肪なんかを集めて、寄せてあげて～って簡易再建しといたよ。この細工を丁寧にやったからあと1時間かかったわ。」

こちらは意識がまだ朦朧としているため、ロクに返事もできなかったのですが、
先生、必要最小限でなく、乳房の整容性まで気にかけて手術してくださったんだ、、、
プロってすごいな。

ってとこでまた意識が遠のいて、しばらく眠り続ける。
麻酔から覚めた後の不快感は、一言でいうと、「ひどい二日酔い」状態。
頭痛とか、嘔吐感とか、ふらつき、めまい。ああ、もう二度とお酒なんて飲まない！って思う瞬間のアレです。

翌日まで続いたなー
夕方先生が様子見に来てくれた時も、
「ムカムカして気持ち悪いです～」
というと、
「まあ、日にち薬やね、だんだんと良くなるよ！どんどん動いてよ！！」
とあくまでも明るく厳しい先生なのでした。

術後は特に痛み止めとか抗生剤とかないので、それはそれでビックリしました。
（夜38度まで発熱があったのでその時だけフロモックスが処方されました。）
比較的若くて元気な患者の場合は、なるべく自力で回復せよ、というのが最近の流れなんでしょうね。

仕事は昨日20時まで頑張って引きついできた。
誰にって、正式な部下がいないので新卒研修中の優秀な若者二人に（笑

この経験が、将来の君たちのカテになるよ！頑張りたまえ！！

ということで前日入院です。
10時半に入院受け付け、病棟へ。

必要なものとして用意したのが、

バスナーショーツ
バストバンド
以上、病院売店にて購入。合わせて3000円くらい。

病衣ｘ２
バスタオルｘ2
フェイスタオルｘ4
コップ
スリッパ
以上、病院内レンタル業者にて貸与。1600円。

あとは、本、ＤＳ、着替えや洗面道具などを持参。

前日の流れとしては、
13時～　放射線科でアイソトープの注射　（センチネルリンパ節検査のため）
13時半～　先生の説明
15時～　先生の超音波検査と切除部分の確認
16時～　アイソトープの撮影
という感じでした。

先生からの説明は、家族と一緒に受けます。
子供はいつも通り保育園に行ってもらい、旦那と私で説明を受ける。

ここで突然ですがＭ先生語録。
関西人だからなのか、時々「えっ？」というようなおもろいことをおっしゃるので、私は時々笑いをこらえるのに必死になるのです。

「もうちょっとねーおっぱい大きい人だと、また違う切り方になるんやけどねー」

「内視鏡の手術跡なんかね、他所の仕事みてみ、汚いもんよ。やっぱり、正攻法でね、スパっと行った方がキレイ、絶対！」

「脇のコッチの方から攻めてって切るってやり方もあるんやけどね、見当が外れて術中にアチャー、ということもあるからね。」

「簡単じゃないけど、まあ、慣れてるからね、心配せんといて」

「これでとれなきゃ、全摘！というくらいのアプローチですから」

なんだろう、こうして書いてみると結構キツいこと言ってるんだけど、
センセの人柄ですかね、ほんわかして笑っちゃうんですよねぇ。

夕方にも病室に顔出して、「明日がんばりましょー」と気合を入れて行ってくださった。
基本、仕事が好きで、誇りを持っているんだろうな。

という感じで楽しい気分のまま手術前の日は暮れる。

夜ごはんには旦那が子供二人を連れてきてくれた。
スーパーで買ったオニギリを食べ、最後は「かあちゃんがいい～」と泣きながら帰って行った子供たち。生まれてからほとんど一緒に過ごして来たのだから、子供にとっても母にとっても試練の入院生活。

なんか、一人で過ごすと、忘れ物したみたいな、落ち着かない気分でした。
甘えさせてあげている気持ちでいたけど、本当はこっちがいつも子供に甘えてたんだなぁ、と思う。ぎゅーっとしたいなぁ。

E病院にて、M先生から検査結果の説明と今後の流れについて。

「まずね、よそに明らかな転移はありません。」

ほーーーーーっ。良かった。

「ただ、１ｃｍばかりと思っていた病巣なんだけどね、MRI撮ってみたら、ホラ、結構奥まで伸びてるわけよ」

話のなりゆきが？？？

「で、最初に思っていたよりは大きいめに切らないといけないね。こういう風に、扇状に、1/4くらい切る感じ。取り残し、絶対にあっちゃいけないから。」


二人の子供を完全母乳で育ててくれた私のおっぱいさん、随分頑張ってくれたよね。
全部なくならないでも、1/4サヨナラするだけでも、やっぱりさみしい。
でも、切る必要があるなら。告知から手術まで、しみじみ考えるヒマを与えない展開というのも、腹を繰るるには良いのかもしれない。ここでいろいろ逡巡してなくて良かった、と思う。

「8日手術できるよう段取りいけた？」

ハイ、大丈夫です。仕事の休みもとりました。

「早ければ月曜日か、遅くても火曜日には退院できるからね。入院、すぐ飽きちゃうからね！今日入院受付してってね～頑張ろうね～」

とあくまでも明るく楽しそうなM先生。
仕事が、楽しいんだろうな。自分の仕事に自信があるんだろうな。と感じる。
私も、自分の専門領域については、こんな風に楽しそうに、自身に満ち溢れた仕事ができてるんだろうか。プロの仕事は、見ていて清々しい。
と病気と関係ないことを考えさせられる。

ま、ともかくまずは休暇に入るまでの引き継ぎ仕事がんばろ。
迷惑を最小化しなくては。

紹介状を持って、E病院の外来へ。
事情を告げると、だいぶ待つことにはなるが、今日見てもらえるとのこと。
会社に病欠のメールを入れ、番号札をもらって待ち続けること1時間半。また、その間にもう一度マンモをとってもらうよう看護師さんより指示があり、再度マンモの撮影。

先生が「お待たせしてゴメンねー」と笑顔で迎えてくれた。
無理に予約外でねじ込んだので、申し訳ない気持ちでいっぱいだったところに、思いがけず優しい言葉をかけていただき、ちょっとホッとする。
思ったよりお若い、小柄でエネルギーに満ちた感じの先生。ちょっと関西弁なのがまたなんとなく心を和ませる。

紹介状についていた検査結果などを見ながら、

「よっしゃよっしゃ、大丈夫、適切な治療を受ければ治るからね」

と声掛けをしてくださる。

「年内にカタがついた方がスッキリするでしょ？じゃあ11月8日あたりに切ろうか。お仕事とか、調整できる？？今日すぐCTとって、他の検査もして、MRIだけはCTと別の日がええから、来週とろか」

とカレンダーを見ながらパッパッパーと段取りしてくださる。
放射線科にもすぐ電話、「ひとり緊急でCT頼むわ」と話を通してくださった。

外科の先生ってこんな感じなんだ！！！

仕事上でもプライベートでも、外科の先生とお話しする機会はこれまでなかったのですが、
なんというか
ともかくキレがいいです(^^)

「今日の検査結果なんかも含めて、来週説明したいんだけど、いつ来られそう？？ん、じゃあ29日、8日手術できるように段取りしといてよー。」

暗い気持ちで病院に行ったのですが、
M先生の診察を受け、
キレが良い会話で元気をもらい、
なんとなくこれからの治療が楽しみなくらいになってきたのでした。

センセが好みだったから？
それもある（笑